当院における9年間のレントゲンによる姿勢の加齢変化の結果

当院における9年間のレントゲンによる姿勢の加齢変化の結果

9年間、延べ人数300人以上の長尺レントゲン(全身の骨格を正面、側面の2方向でレントゲンで撮影する方法)で人体の姿勢(以下、アライメント)の加齢的変化を観察した。
(目的)
①パーソナルトレーニングをすることで不良アライメントが改善することが可能かを見る。
②パーソナルトレーニングをせず日常生活のみで過ごした場合のアライメント変化をパーソナルトレーニングをしたグループと比較する。
(方法)
長尺デジタルレントゲンにて、脊椎(頚椎前弯、胸椎後弯、腰椎前弯、仙骨前傾角、腸骨傾斜角)下肢(大腿脛骨角、距腿関節角)Jackson法を用いて評価した。
(結果)
①パーソナルトレーニングをすることで不良アライメントが改善することはない。
②パーソナルトレーニングをしたグループはトレーニングをしないグループより姿勢の加齢変化の進行が抑制される。
(考察)
パーソナルトレーニングをすることで不良なアライメントは有意に改善することは困難と言える。
ただし、パーソナルトレーニングは有意にアライメントの老化を予防する効果があるため、全年齢を通じて可能な限り導入を勧めることが望ましい。
今回の研究は平均年齢が60歳以上であり、整形外科疾患を持つ方が多かったことで日本人の平均的な姿勢の加齢変化とは言えない。

全年齢で均等に統計を取ることで、どの年齢からアライメントの老化が不可逆性となるかを観察することが必要と思われる。

その他、この研究で明らかになったことを一部下記に示す。
❶腰椎前弯、仙骨前傾が正常より大きいほど有意に腰椎前方すべりを生じる。腰椎前方すべりを予防するためには、仙骨前傾が過剰であるほど体幹の筋力強化が必要となる。
❷腰椎前弯が不足していると30歳代頃より椎間板の変性が著明となる。アライメントの老化を防ぐには適度な腰椎前弯、仙骨前傾が必須となる。
❸距腿関節内反と膝内反、距腿関節外反と膝外反は相関する。つまり、足関節のアライメントは膝に影響し、その反対もありうる。全身の不安定性を代償するため距腿関節を内反していることが多い印象があるが、それが原因して将来的に膝内反を引き起こしている可能性がある。
❹仙骨の傾斜角と腸骨の傾斜角は相関しない。(仙骨前傾と腸骨後傾は多数存在するため、骨盤傾斜として腸骨のASIS、PSISの高さでアライメントを評価することは妥当でない。)
❺頚椎前弯の不足は胸椎後弯の不足と相関している。胸椎の後弯が不足し、第1胸椎が前傾していないと頚椎前弯は不足しストレートネックとなる。若年者のストレートネックの改善方法として第1胸椎を前傾に導く姿勢指導が必要と考えられる。
これらの結果の一部は徳洲会グループの学会で発表した。

 

 

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この記事の著者 :
橋間 誠

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