マキノ出版から毎月出ている
「安心」11月号の
「足の小指は病気治しの急所」特集に
取材のオファーをいただきました。
足のゆびに大事な役目なんてあるの?
進化前の尻尾と同じでやがては不要で退化していくんじゃないの?
など、足のゆびは存在も忘れてしまうパーツと思われがち。
しかし、
実は私たちのカラダの老化は足ゆびの機能に大きく影響されていたのです。
スポーツのパフォーマンスを上げるトレーナーの中には早くから着眼している方もいらっしゃるようですが、このカラクリを知れば眼からウロコのバイオメカニクスの世界が広がります。
1980年以降、多くの医学論文で「足ゆびの全身に関節の安定性への関与」が発表されています。
藤原ら 1982年 対象年齢20~79歳
「静止立位と前傾姿勢の安定性と足趾筋力の関係」
山口ら 1989年 対象年齢20~31歳
「片脚立位の安定性と足趾筋力の関係」
馬場ら 2000年 対象年齢18~39歳
「足趾筋力の低下と転倒の関係」
宇佐波ら 1994年 対象年齢17~21歳
「足趾把持練習の全身に及ぼす効果」
井原ら 1997年 対象年齢 平均20歳
「足趾把持練習の持続効果」
などなど、多くのエビデンスがバイオメカニクスの研究で証明されているのです。
特に足の小ゆびは私たちの「中臀筋」に関連し、胴体と下肢の安定性を強化してくれいます。
私たちの歩行はバイオメカニクス的に表現すると片足立ちの繰り返し。上半身が少し前に傾くことで前に歩行することになるのです。
この時、骨盤を平行に保ち、胴体が左右に揺れるのを防いでいるのが「中臀筋」の大きな役目です。
お年寄りや、膝、股関節の変形を起こした患者さんの歩行を見ると、上半身を左右に揺すりながら歩いているのがわかります。
上半身が揺すられていると膝や背骨の変形の進行が一気に進みます。
「中臀筋」の弱化は私たちの関節、背骨の老化を進める大きな原因となるのです。
私は診察中に足ゆび、特に小ゆびで前に進む意識を持つよう患者さんに指導しています。
従来の「かかと着地、親指で蹴る」という指導は、「小ゆびで地面を蹴る」ことを忘れてしまうことに気づいたからです。
「小ゆびで地面を蹴る」感覚はノルディックウォーキングでの2本のポールを使って歩行するとリアルに感じることができます。
この感覚で歩くと中臀筋、ひいては大臀筋に力が入り、ぐんぐん前方にカラダが推進しているのがわかります。
これがノルディックウォーキングの魅力の一つと言えるでしょう。
あなたの小ゆびはしっかり地面をとらえることができますか?
そしてお子さんやお孫さんの小ゆびを見てあげてください。
世界中の子どもの「小ゆび」を元気にしてあげたい、
って、思ってしまいますよね。