平成30年7月13日毎日新聞より
沼田(ぬた)川が氾濫して広範に浸水し、住民3人が水死した三原市本郷町船木地区。犠牲者はいずれも、難病や高齢で自力避難が難しい要援護者だった。大雨と二つのダムの放流が重なり、川の水位が急上昇して氾濫したとみられ、被災者は異口同音に「自分が逃げるだけで精いっぱいだった」と話す。前例のない豪雨は住民避難のあり方に一石を投じている。
「水が床から天井に達するまで30分なかった。助けに行く余裕はなかった」
広島県三原市本郷町に医療ボランティアとして参加しています。
フレックス薬局の薬剤師、鈴木陽次郎先生と一緒です。
7月15日、夜明け前の午前4時に診療所で点滴やフレックス薬局の薬品を車に積み込み出発。
車で5時間、中国自動車道、山陽自動車道を利用し三原市本郷町に向かいました。
本郷のインターチェンジで下車し山間部を超えて行くと自衛隊の車、給水車が多数行き来していました。
道路のがれきや泥は前日に自衛隊が除去して給水車も到着したそうです。
ボランティアに来た私たちの滞在中の食事、飲み水は持参するよう指示されていましたが救援物資がちょうど大量に届いていました。
町の総合病院の本郷中央病院は1階が完全に浸水し機能していません。
午前9時前に本郷町のコミュニティーセンターに到着。
センター前には多くのボランティアが全国から集まり列を作っていました。
この日集まったボランティアは約300人。
長崎など遠方より来られた方もいらっしゃいました。
医療スタッフは私たちと看護師さんが1名のみです。
私たちは体育館の仮設医療スペースに案内され、早速、点滴、皮膚縫合セット、薬品を配置しケガや熱中症、持病の悪化の方が来られるのに備えました。
この日コミュニティーセンターに医療を受けに来られたのは
鼻出血 1人、熱中症6人、四肢挫創 2人
そのうち熱中症は1人の往診依頼を受け、災害車両で被災が最もひどかった船木地区まで向かいました。
地元の74歳の男性で自宅一階が完全に浸水し自宅の中が全て泥に覆われた状態でした。
今日は朝からボランティアの方たちと整理をされている際、嘔気、めまい、顔面の発赤の症状を生じたとのこと。
前日には洪水で亡くなられた近所のお通夜で疲労がたまった状態、電気も来ない屋内、30度を超える気温、熱中症になることは必至という条件での出来事でした。私が車でスタッフ、地元の看護師さんと駆けつけたときには幸い症状が少し軽減されており安心しました。
地元の鉄道は復旧にはかなりの時間がかかるようです。
大きな検査機器も治療スペースもない環境下での対応に不安はありましが、
「医師は私1人しかいない」「可能な限り全力を尽くすしかない」
と開き直って時間を過ぎるのを待ちました。
夕方5時ようやく医療ボランティア1日目が終わりました。
薬剤師の鈴木先生、地元看護師の柳原さん、センタースタッフの皆様
ありがとうございました。
明日も猛暑になりそうです。
あと1日がんばります。
現場は健康で頑丈なボランティアを求めています。
電車は所々不通になってるため使えませんが、車はコミュニティーセンターまで通れます。
体力に自信のある方は広島、本郷町のコミュニティーセンターに連絡の上9時から11時30分までにお集まりください。