~ 遺伝子に刷り込まれた食習慣 ~
こんにちは。メディカルフィットネスMLFトレーナーの杉江勉です。
『より良い充実した日常生活を!』を合言葉に著します。
私たち人類の祖先は、約700万年前に誕生しました。そして約1万年前に農耕が始まりました。穀類(炭水化物)の生産が始まったのです。糖質の大量摂取が可能になったということです。
別の表現をすれば、約699万年もの間、祖先は狩猟採取の生活を送ってきたわけです。獲物が全くなかったという日もあったでしょう。果実を採取に行ったが、獣に先を越されていたということもあったでしょう。狩りに行ったが、逆に獲物に襲われたこともあったでしょう。
この気が遠くなるような時の中で、彼らは毎日が飢餓との闘いであったことは容易に想像できます。
そして農耕以前ですから、定期的に安定した量の炭水化物を摂取できない食生活であったということも想像できます。言うなれば、糖質制限食をせざる得ない生活だったと…。
もちろん、現代の私たちがするような糖質制限食ではなく、ずっとずっと質素だったはずです。ただ質素なだけに、例えば季節になれば旬の高糖質の食材は本当に美味しかったことでしょう。そして身体にとって非常に大切な糖質だったことでしょう(中性脂肪として体内に貯留し、非常時のエネルギー源にしていたと考えられます)。
699万年間、私たちの祖先は質素な糖質制限食をせざるを得ませんでした。この食習慣は遺伝子に刷り込まれていると考えてもおかしくはないでしょう。実際のところ、血糖値を上げる体内ホルモンは数種類(グルカゴン、エピネフリン、糖質コルチコイド、成長ホルモン)ありますが、血糖値を下げるそれは『インスリン』だけです。
これは何を意味するかというと、『人間は飢餓に強く、飽食(糖質の大量摂取)には非常に弱い』ということではないでしょうか?さらに付け加えると、遺伝子に刷り込まれた糖質制限食は、私たちにとって身体に優しい食習慣ではないかと思うのです。たかだか1万年程度で遺伝子に刷り込まれた食習慣を変えるというのは到底無理でしょう。もしそれでも変えるとなれば、身体への負担は大きくなります。例えば糖尿病とか…。
如何でしょうか?
しかしながら、永きに渡る飢餓との闘争の結果、農耕が始まったわけですから、定期的に安定した量の穀類(糖質)がほぼ約束されている食生活というのは、当時の人々をどれほど安堵させたことでしょう。農耕は、彼らにかなりの恩恵を与えたはずです。
遠くまで出かけて命を懸けて狩猟採取しなくてもよいから、家族が心配する必要もないわけです。毎日安定した量の食材(糖質)が食卓に上ります。こんなことは農耕以前は一度たりともなかったはずです。そして『もっと大量に、もっと美味しく』ということを考えて、生産技術や精製技術の向上に繋がったことでしょう。さらに、農耕は単位面積当たりの扶養人口が狩猟採取よりも確実に多いので、子孫繁栄にも繋がったはずです。
ただ、これは限りなく真実に近い私の憶測なんですが、農耕に安堵した私たちの祖先は、現代の私たちが糖質過剰摂取と活動量不足による糖尿病に苦しめられることになろうとは想像しなかったでしょう。
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